【院長執筆】口腔ケア②

歯周病ケア対策

③ ガム
―ガムの添加物の問題やガムを食べることによって起きる下痢嘔吐の可能性が否定できないということもあります。また、ガムの丸のみによる食道内閉塞を救急病院に勤務していた際にはよく見かけたので、獣医師によっては賛否両論の歯周病対策であると考えています。しかし、何も対策をせず、歯周病が進行するよりは良いのかなと個人的には考えています。

④歯石とり、スケーリング
―人と異なり基本的に全身麻酔が必要です。歯の表面に歯石が軽度に付着している程度ですと、小型犬や猫では施術は20分程度で終了します。施術後は基本的に日帰りでお返ししております。

しかし口腔ケア①ではあまり触れていませでしたが、重度の歯石付着や歯がグラグラに抜け落ちそうになっているレベルの歯周病の場合には施術時間や施術方法も大きく異なりますので、施術前に獣医師との綿密な打ち合わせが必要です。さらに全身麻酔となりますので、高齢・持病がある場合などの場合には事前にリスク評価が重要となります。


⑤歯周病を抑えるサプリメント、内服

 


―最近ではインターベリーという歯周病改善の商品が猫の歯肉炎に効果が認められ、以前に比べ少し進歩を感じております。歯磨きができない子のために歯周炎を起こす悪玉菌を減らすサプリメント等もございますので、お気軽に獣医師にご相談ください。
また、動物がご高齢かつ症状が酷い場合には麻酔をかけた歯石取りが難しい場合もあると思います。その場合には口腔内に対する抗生物質の内服といった対策もございますのでこちらもどうかご相談ください。
※インターベリーα(R)は動物用医薬品として国から承認を得ておりますので、ペット保険の適応になる場合もあります。(詳細はご加入の保険会社にお問合せ下さい。)


~最期に~

何も対策をほどこさないと、多くの子が陥ってしまうのが歯周病です。たまたま玩具を噛むのが好きで、それが歯磨きの代わりとなり、良好な口腔内環境を維持している子もいますが、大抵の子は気がつけば口臭があり、歯周病となってしまっています。どんな事でもそうですが、早期発見、早期対策が一番コストのかからない解決方法なのです。当院ではワクチン接種の際や、日常的な身体検査で口腔内の状態も必ずチェックし、伝えるように心がけているので、一つ参考にしてください。