犬の子宮蓄膿症をご存じでしょうか?
中年齢の未避妊メス一般的な疾患で、発情のたびに繰り返し子宮内膜が刺激され肥厚し、これに細菌感染が起こった結果発症すると考えられています。
簡単に言えば、子宮に膿や細菌が溜まった、もしくは溜まりだした状態のことです。
一般的な臨床兆候は「多尿」「元気消失」「嘔吐もしくは食欲不振」「外陰部からの滲出物(血や膿など)」です。
外陰部から血や膿が出ていて、調子が悪いのであれば、診断への近道になりますが、血や膿が出ないタイプもありますので、注意が必要です。
早期発見されれば外科手術での回復率は高いですが、発見が遅れると死亡率も高くなってしまう怖い病気でもあります。
基本的には、外科手術による子宮卵巣摘出が第一選択となります。
様々な理由で、外科手術を避けたい場合、内科療法もないわけではございません。病気の進行具合によりますが、薬剤感受性検査をともなった適切な抗生物質の投与や、黄体ホルモン受容体拮抗薬:アグリプレストン(製品名Alizin:アリジン)を当院では用意しておりますので、発症にかかわる黄体ホルモンに対抗することもございます。
※注意点:作用機序としては黄体期を解除し、子宮頚管を弛緩させることで排膿を促す。よって黄体ホルモンが優位な発症過程でなければ効果を得られない。効果発現までに時間がかかる。
子宮蓄膿症では基本的に、早期の外科をお勧めしておりますが、アリジンをお探しの方がいらっしゃいましたら、まずはご連絡をいただけますと幸いでございます。
文責:秋山紘平