当院の手術実績について
当院では一般的な避妊去勢以外の手術も受けつけておりますので、一部報告いたします。
若齢の成長期の小型犬に多い病気で、大腿骨頭壊死症(レッグ・ペルテス病)という病気があります。
その病気を疑う症例でした。
股関節に痛みがあり、「片方の後ろ足を上げるようになった」という訴えで来院され、触診とレントゲンにて診断に至りました。
主たる原因は未だ不明であり、大腿骨頭への血流が減少することで発生します。主にトイ種やミニチュア種の4ヶ月齢から1歳頃までに発症することが多いと言わる股関節の病気です。
治療において手術が一般的な選択肢とされており、動物病院では痛みの原因である大腿骨頭の切除を行います。
当院でも大腿骨頭切除術を行い、その後経過は順調で、徐々に足をつくようになってくれており嬉しく感じております。
手術では強い痛みが予想されたため、硬膜外麻酔を使用し、良好かつ、おだやかな麻酔からの覚醒を得ています。
去勢をしていない中高齢の雄犬に発生する病気です。飼い主様からの訴えでは「便がうまく出ないようだ」とのことでした。
雄性ホルモンの影響で肛門周囲の筋肉が萎縮してしまったために、直腸がまっすぐな状態を維持できなくなったのです。そのため、蛇行した直腸が便を貯めていました。
筋肉の萎縮が著しかったために、半吸収性のメッシュを使い、委縮していた筋肉部分をカバーしました。
この手術も強い痛みが予想されたため、硬膜外麻酔を使用し、良好かつおだやかな麻酔からの覚醒を得ています。
術後の経過は良好で「便がきちんと出るようになった」と言ってもらえ、嬉しかったです。
体表のイボやちょっとした腫瘍の切除を依頼されることは多いですが、この症例では病変部が体幹部の筋肉と固着しており、飼い主様とご相談の上、筋膜ごと切除することとなり、病理検査に供しました。
この手術も強い痛みが予想されたため、硬膜外麻酔を使用し、良好かつおだやかな麻酔からの覚醒を得ています。
以上が最近、記憶に新しい手術になりますが、痛みが強いと思われる手術の際の硬膜外麻酔は、覚醒時にワンちゃんが痛がった様子を見せないので、個人的には非常に価値のある処置だと考えています。
文責:秋山紘平