犬の副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)とは?原因や症状を解説

副腎皮質機能亢進症はクッシング症候群とも呼ばれ、中年齢以上の犬に比較的よく見られる内分泌系(ホルモン)の病気です。

副腎は、腎臓の近くにある
5~7㎜程度のとても小さな器官で、体に必要なホルモンを分泌する大切な役割を担っています。副腎の内部は外側(皮質)と中心部(髄質)に分かれ、それぞれ異なるホルモンを分泌しています。

副腎皮質から分泌されるホルモンが過剰になると、体に種々の不調が起こり、副腎皮質機能亢進症という病気になってしまいます。

目次
1.原因
2.症状
3.診断方法
4.治療方法
5.予防方法や飼い主様が気を付けるべき点
6.まとめ

原因

犬に副腎皮質機能亢進症を引き起こす一番の原因(約85%)は副腎皮質の働きを促す下垂体という器官に発生する腫瘍です。この腫瘍は良性のことが多いのですが、悪性(癌)のこともあります。

また、副腎の腫瘍や副腎皮質ホルモン(ステロイド)を長期間投薬した場合に発生することもあります。

 

症状

副腎皮質機能亢進症でよく見られる症状は飲水量と尿量が増える多飲多尿です。

その他には、被毛が薄くなる、左右対称性の脱毛、食欲亢進、削痩(やせること)、筋肉量の減少、お腹が膨れる(ポットベリー)、パンティング(ハアハアと荒い呼吸を繰り返すこと)、尿失禁なども見られます。

下垂体腫瘍が原因の場合、腫瘍が大きくなることにより脳が圧迫され、行動の変化や視力障害等を起こすこともあります。

病気が進行すると、元気がなくなり、寝ていることが多くなります。

さらに、この病気から感染症や糖尿病、高血圧など他の病気を併発することがあります。

 

診断方法

年齢や症状、投薬歴から副腎皮質機能亢進症が疑われる場合には、血液検査や尿検査、X線検査、超音波検査などの一般検査、さらに、ACTH検査、低用量デキサメタゾン抑制試験という特別な検査を行います。

副腎皮質機能亢進症と診断された場合には、下垂体腫瘍や副腎腫瘍の有無を確認するため、詳しい超音波検査やCT検査などを行います。

 

治療方法

治療は、過剰に分泌される副腎皮質ホルモンをコントロールする飲み薬(トリロスタンやミトタン)を使った方法が主流となります。

原因が副腎腫瘍や一部の下垂体腫瘍の場合、放射線治療や副腎を摘出する手術を検討することもあります。

 

予防法や飼い主様が気を付けるべき点

腫瘍に起因する副腎皮質機能亢進症を予防することは困難です。

ステロイドによる同疾患を防止するためには、獣医師の指示に従い、正しい投薬法でステロイドを使用しましょう。

また、副腎皮質機能亢進症に罹ってしまった場合には、副腎皮質ホルモンをしっかりとコントロールするため、定期的な検査(ACTH検査など)を受け、適切な投薬量を見極めることも大切です。

 

まとめ

副腎皮質機能亢進症は完治させることの難しい病気ですが、早めに適切な治療を開始することで体に起こる不調を緩和し、合併症を予防することも期待できます

飲水量が増えたなど、何らかの変化が見られたときには、早めの受診をおすすめします。

 

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