新薬 リブレラ(犬)・ソレンシア(猫)の使用感について
~副作用の少ない 関節の痛みを緩和するお薬、効果は1か月持続~
共に神経成長因子であるNGFという物質に対する抗体治療薬です。
NGFは慢性疼痛に深く関わっていることがわかっています。
従来のNSAIDSなどの痛み止めは腎障害などのリスクがありましたが、これらの新薬は痛み物質NGFのみに作用するので副作用が少ないです。
【リブレラ】
ワンちゃんのお薬です。体重に合わせて注射します。効果発現には7日ほどかかるようですが、主に関節痛を取るために使用しています。効果は1か月間持続します。
使用感:歩くときのふらつきが減ったというお声を頂くことが多いです。1か月に1回のお注射で治療を続けていきます。従来は関節のサプリメントが主な対処方法でしたが、投薬の手間があったと思います。そこに新しい治療法が加わったイメージです。
慢性的な関節の痛みを訴えるのは高齢のワンちゃんが多いのですが、副作用のリスクが低いので安心して使用しています。
【ソレンシア】
猫ちゃんのお薬です。体重に合わせて注射します。効果は1か月間持続します。1か月に1回のお注射で治療を続けていきます。
年を取ると関節の正常な軟骨組織が薄くなることで、12歳を超える猫ちゃんの90%が関節の痛みを持っているとも言われています。
しかし猫ちゃんの関節の痛みを、見つけるのは犬に比べ難しいです。
足を引きずり、よろけるケースは犬に比べ少ないように感じます。
そのかわりに高いところへジャンプできなくなり、慢性の関節炎はひっそりと進行しているケースが多いように感じます。
また犬と違うところは、ソレンシアは口腔内の痛みで食事をとれなくなった猫ちゃんにも効果を発揮し、痛みを取ることで食事がとれるようになる可能性があるということです。
実際に、口を痛がる猫ちゃんが通院されていた際に、飼い主様から「口の痛みが減って、少し食べられるようになったようだ」と言っていただけました。
使用感としては、慢性関節炎にも効果を発揮しますが、猫はもともと症状がわかりにくいため、犬に比べ効果を実感しにくいと感じています。
もう一つの口の痛み抑制には期待をしております。
副作用の少ない、慢性関節炎の痛み止めのお話でした。
文責:秋山紘平