歯周病は日常的に診察していると遭遇する口腔疾患です。2歳以上の80%の犬と猫で何らかの歯周病の兆候を認めるといわれています。
歯石はそれ自体が悪さをするわけではありませんが、表面が粗造であり歯石があるとより歯垢が付きやすくなると考えられる為、歯石は好ましいものではありません。
※歯周病の発症要因は歯垢中の歯周病原細菌であり、歯垢の除去が歯周病の進行に大きく関与しています。
※さらに人との違いがあるとすれば、通常犬の口腔内はアルカリ性であるために歯垢から歯石に変化する日数が早く、3~5日といわれています。人では口腔内が弱酸性であるために歯石形成は数日からはじまり1か月以上かけて終了すると言われています。
ネコではかなり歯周病発症の個体差を感じますが、犬の場合まったくケアをしていない場合、早期に歯石で歯が覆われるケースが多いです。(特に唾液線開口部近くの上顎臼歯の頬側面)よって口腔ケアは常に気にされた方が良いと感じています。
以下に対策を書いていきます。
① 歯ブラシによるブラッシング
―もし毎日可能であれば文句なしの100点の対応でしょう。
② タオル法
―私がお勧めする方法、ですが傷んだタオルでも良いと思うので表面がツルツルではなくゴワゴワのハンドタオルを用意してください。1日1回、それが無理でも2-3日に1回程度、そのタオルで歯の表面をこすって歯垢を落とすのです。歯磨き初日や歯磨きを初めて数日は歯茎から出血することもあると思いますが、明らかに痛みが発生している場合を除けば問題ありません。逆に歯周炎が治っていきます。そしてこれを続けてもらえばかなり口腔内環境は改善し、維持されます。手短に終わらせれば3分ほどで終わりますし、(何をしても、噛みついたり、うなるタイプの犬でなければ)犬とのスキンシップといったコミュニケーションにもなりますので、可能であるならばかなりおススメです。
私は病院で飼っている犬と自宅で飼っている犬にこれを行っています。
※画像だとわかりづらいと思いますので、のちに動画を公開します。
――口腔ケア②へ続く