犬および猫の急性腎不全に対して、一つの回答として腹膜透析があげられます。
透析には血液透析と腹膜透析があげられます。しかし血液透析は高価な透析装置を利用する必要があるため、実施可能な施設は限定されてしまいます。
しかし、腹膜透析は透析液と透析用カテーテルがあればほぼすべての動物病院で実施可能です。
腹膜透析では一定期間、透析液を腹水として、おなかの中に入れておきます。すると尿素やクレアチニンといった尿毒素が透析液へ移動するので、のちに腹水を回収することで、血中の尿毒素を下げられます。
当院では急性腎不全の症例に対し、腹膜透析を実施しております。
院内症例でも急性腎不全の症例に対し、静脈輸液療法と、腹膜透析を併用で実施したところ、良好な結果を得られました。
当院での腹膜透析実施時には、海外から輸入したMILA社のPEEL AWAY針そこに通すカテーテルを用いて簡易的に実施することもできます。この方法ですと局所麻酔薬と鎮静剤の使用で低侵襲に行うことが可能です。
※理想的な腹膜透析のカテーテルの設置は全身麻酔下で、腹部に大きな切開を加え、大網切除を伴うものが紹介されています。私は、これはやや大がかりかと感じます。
急性腎不全と診断された方は、腹膜透析が有効かもしれません。
長期的な腹膜透析は不可能かもしれませんが、腹膜透析で時間を稼いでいる間に全身状態が良くなり、回復のチャンスが生まれる可能性もあります。(尿管に詰まっていたものが、流れる or 尿管ステントの手術が行えるようになる、など)
腹膜透析について、必要かもしれないと思われた方、もしくは急性腎不全と診断された方はお問い合わせ下さい。
文責:秋山紘平